昼前から風が強くなるであろうことは天気予報で確認済みなのであった
ゴルフ経験の浅いビギナーゴルファーの方であれば、ともすると前夜に天気予報を確認することで、ラウンドの準備が万事整っていると勘違いしがちかもしれないが、念の為ご忠告申し上げておこう。というのは、事前に強い風の天気予報を確認し当日その予報が当たったとしても、風の中のラウンドが上手くいく保障はどこにもないという、鈍く冷たい事実についてである。つまり風が吹く気象現象が予想できることと、いざその風を攻略し満足いくプレーができるかという事象は完全に独立であるということである。幼き頃から義務教育において予習復習の大切さを叩き込まれてきた人間からすると、前夜の天気予報の予習が、当日のゴルフのラウンドにおいては全く役に立たないことについては受け入れ難い事実かもしれないが、残念ながら受け入れざる終えないというのもまた事実なのである。
ゴルフの予定をカレンダーに登録すると、当日までには何度も天気予報サイトをチェックするというのはゴルファー全員に共通するルーティンであることに異論は無かろう。また、その天気予報サイトで雨模様など出ようものなら、他の複数の天気予報サイトをチェックし、曇りマークを見つけては「大丈夫問題ない」と言い聞かせるのも日常的なゴルファーの風景であろう。ゴルファーの嗜みとして天気予報サイトは最低2つは抑えておきたいものなのである。
前半9ホールを終えての昼食タイムである。前半の最終9番ホールあたりから風が強くなってきていたため、必然的に昼食時の話題は風の強い中での後半9ホールについてであろう。各自が事前にチェックした時間帯により風の強さの予報は多少のばらつきはあれど、5 m/s から 8 m/s 位の風のなかでのラウンドになりそうだというのは全員の共通認識なのである。そこで対策として挙げられたのは、例えば敢えてゆっくり振ることという意見である。これは特に向かい風の対策としてはよく聞くため誰もが納得である。他にはパンチショットを意識しコンパクトにスイングするという意見や、体が揺れないようにスタンスを広くするという意見や、パッティングでも風の影響を受けるかもしれないので注意しようという意見など、さすがベテランゴルファー揃いである為対策は万全なのである。
さて、予想通り折り返しの10番ホールは強い向かい風になっていた。打ち下ろしも相まって強い風を感じながらティーイングエリアに立ちアドレスに入る。「風の日は力んではいけない、むしろゆっくり振るくらいが良い」、昼食時の会話が頭をよぎるのである。そこで一旦アドレスを解いてボールの後ろでゆっくりの素振りを実施し再度アドレスに入る。依然として向かい風を強く感じながら、素振りの調子でゆっくりを意識してのテークバック、ボールに向かいダウンスイング、そしてボールへインパクト。慣れないことが上手くいくはずもない。フェースが被って当たり、フック回転で高く上がったボールは風に流され左に切れていき、OBゾーンへ吸い込まれていった。不思議とOBゾーンに流れていくボールを見ている間は、うるさい風の音は聞こえないものだなぁなどと、あやうく現実逃避しそうになっている。一旦失った自信は簡単には取り戻せない。その後の後半9ホールの風の中のラウンドは文字にすると泣いてしまいそうなくらい、全てが裏目にでる結果となってしまった。
本日のラウンドを終えて改めて思うのは、《予測》できることと《攻略》出来ることは別物であることである。また、私のように平素練習場に通う習慣のないゴルファーが見落としがちなのは、《予測》と《攻略》の間には《練習》というファクターが存在しているということであろうか。そこで今後は、風のない日のラウンドでもコンパクトスイングの《練習》を取り入れていこうと心に決めた風の強い日のラウンドであった。
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