マネージメントは完璧なのに、、、
INスタートであった。17番ホール。大胆な打ち下ろしからの打ち上げ、距離の短いPAR5である。ティイングエリアからおおよそ30メールは打ち下ろしているだろうか。2打目以降は逆に 20メートルは打ち上げている。左は法面、フェアウェイは狭く右に傾斜している。
マネージメントとしては左の法面にあててフェアウェイまで落とし、2打目はレイアップ、3打目で乗せて2パットのパーであろう。マネージメントは完璧である。いや完璧すぎると言っても過言ではない。これ以外のマネージメントがあれば教えて欲しい。あまりの完璧さに、あやうくスコアカードにパーと書き込むところであった。
今回同伴メンバーはこのコースは初めてとのことなので、意気揚々とこの完璧なマネージメントを披露し、悦に浸っていた。同伴メンバーもさもご尤もと賛同の意を表明していた。
前の組はご夫婦のようである。2サムでプレーしているため、プレーはとても早い。従って、我々の組みはティイングエリアで待たされることも、2打目以降で待たされることもなく、スムーズに休みなく進行を続けてきた。季節は夏、天気は蒸し暑く、汗が吹き出し、集中力は否応なく奪われていく。
思い返せば、13番ホールで+3を叩いてる。取り戻したい、そんな気負いが心の片隅にもなかったかと問われれ、あったかも知れないと答えざる終えない。
17番ホールティイングエリアに立ったときには、ご夫婦はすでにグリーン上でパッティングを終えようとしていた。さて打順である。静かにティイングエリアに立ち、ドライバーで一振り。マネージメント通り、左の法面にあてて、フェアウェイキープ。
2打目地点で残り距離を確認。150ヤーテージ杭が目に入ってきた。はて、PAR5のはずである。残り 150Y の表示は、何かの間違いではないだろうかと、レーザー計測機でも測定。間違いない。打ち上げもあるので 180Yも打てば届くと判断。おもむろに4番アイアンを取り出し、一振り。真夏の太陽に照らされたその白球はとても美しく輝いていた。ただ、その白球は無情にも綺麗な円弧を描き場外へへと吸い込まれていく。
「OB ・・・・」
アウト・オブ・バウンズ(out of bounds)とは、コートが定められている競技の多くで用いられる、コート外を示す用語。バウンズ(bounds)は英語で境界、制限などという意味があり、アウト・オブ・バウンズは直訳すると、「境界から離れた外」となる。なお、ゴルフではアウト・オブ・バウンズのことを略してOBと言われることが多い。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
とても長い時間のようでもあり、一瞬でもあった。こみ上げてくるこの感情はなんであろうか。当初のマネージメントを無視した背徳感であろうか、あるいは、はやく暫定球を打って前にすすみたいと思う焦燥感だろうか。暑い真夏の太陽が見せる一時の白昼夢であれば覚めて欲しい。頬を伝うこの液体はきっと汗であろう。
ゴルフとは自分との戦いであり、積み上げられていくミスを寛容な心で受け止め続ける度量が求められる。ミスは決して無かったことにはできない。ミスを愚直に受け入れられない器の小さい人間はゴルファーとしての資質を問われる。すべてを受け入れ、ただ前に進むのみである。ミスを後悔し、引きずってはいけない。自分は決してそんな器の小さい人間ではないはずである。
18番ホールティーショット。近年稀に見るティーイングエリアが凹むほどダフリ。
まだまだ修行が足りない。
コメント