【ラウンド】往復ビンタ

ラウンド

鉄のハートが欠かせない

往復ビンタという言葉を聞いた事があるだろうか。例えば、グリーン右のラフからアプローチするも強くヒットしてしまいグリーン左のバンカーに転がり落ち、そしてバンカーショットを打つもホームランで再度右らのアプローチをするはめになるなど、グリーン周りで行ったり来たりする事である。プロの試合中継ではあまり見かけないが、素人ゴルフではよくある光景である。

この日もグリーンを狙ったショットが右ラフに入るといういつもの光景を繰り広げていた。これはいつもの事なのでプロゴルファーのようにクラブを叩きつけるほど感情あらわにするような類の物ではない。残念に思うことはあれども、至って平常心である。「はい、はい、いつもの事だね」、「なんとか寄せて、最悪2パットで上がりましょ」、「あわよくば1パットで切り抜けましょう」、など日頃から鍛え抜かれた鉄のハートがものを言うのである。慣れとは恐ろしいものである。

右ラフのボールは少し沈み気味。同伴メンバーは既にボールマークを終え、私のアプローチショットを見守っている。再度ボールを見て思う、「これは寄らないなぁ」、「ざっくりは避けたいよなぁ」。弱気な事を考えながらも、ラフに負けないよう少しグリッププレッシャーを強くして打つ。これが綺麗にトップし、勢いよくグリーン上を走り、向かいのバンカーへと吸い込まれていく。
膝から崩れ落ちそうになるのを必死に堪え、そそくさとバンカーへと向かうのである。この状況も稀にあるため、ただ、ただ、バンカーから出して2パットで切り抜けたいと思うだけである。

幸いバンカー内のボールは平らなところで止まっている。砂は締まっている。少し距離のあるバンカーショットを打つ状況である。この時やってはいけ無いことは脱出に失敗し、再度バンカーに入れることであろう。距離もあり、前のショットを挽回したい思いもあり、自ずと力が入る場面ではある。結果はホームラン、再度右ラフへ飛んでいくのである。ここで見事に往復ビンタの完成である。茫然自失とはこの時のために昔の偉人さんにより作られた言葉と聞いている。同伴メンバーから見た私の背中には哀愁が漂っていたであろう。

無駄に打数を重ねている事への羞恥心と同伴メンバーや後続組のプレーを止めてしまっている焦りで、もうまともに思考ができない、同伴メンバーへも顔向けできない。ひたすら早くホールアウトしたいと思うのであった。

このように不幸は突然訪れるものである。アマチュアゴルファーである。技術論は良くわからない。ただ、日頃のハートの鍛錬を疎かにしてはいけないと心に刻むのである。
そんな事よりアプローチやバンカーショットを練習しろという真っ当な指摘は本人には届かないものである。

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