【ラウンド】PAR3は難しい

ラウンド

羊の皮を被ったPAR3

ゴルフの1ラウンドは通常 18ホールをプレーするのが一般的であろう。18ホールの内訳としては、PAR3 が 4ホール、 PAR4 が 10 ホール、 PAR5 が 4ホール の計 18ホールという構成もまた一般的な構成であると思われる。この構成要素の中で PAR3 が一番難しいことは論を俟たない。

PAR3のホールでは平坦なティーイングエリアからグリーンを狙うのである。爪先上がりも、爪先下がりも、左足上がりも、左足下がりも、何もない、ただただ平坦な場所からグリーンへボールを運ぶのである。しかも、ボールはティーアップされているため、ダフリの確率も低く、自ずとボールを高く上げる事ができる。しかもグリーンはティーングエリアから見えているのである。これだけの好条件が揃っているのであれば、グリーンに乗せることなど何するものぞとゴルフ未経験者はのたまうのである。無知とはかくも恐ろしきものかな。老婆心ながら彼らの行く末が案じられる。全てが好条件だからナイスショットが打てるほとゴルフは安直な競技ではないことが全く分かっていない。やれやれ、ため息の一つもつきたくなる。

PAR4やPAR5ホールでグリーンを狙う場合、その距離は多くの場合 100ヤード前後、せいぜい130ヤード程度ではなかろうか。170ヤード以上の距離からグリーンを狙う場合もあるが、その場合そもそもティーショット等それ以前にミスを重ねているであろうから、グリーンに乗ることなどはなから期待していない。一方 PAR3では、140ヤード前後の場合が多く、それより短い場合は、打ち上げであるや、グリーンが小さい、バンカー・池などのハザードが絡んでいるなど巧妙に罠が仕掛けてあるのである。200ヤード前後の PAR3も存在する。PAR4や PAR5での距離のない場所からグリーンを狙うショットとは根本的に違うのである。

さらに ゴルフではホール間を移動する間にリズムは一旦リセットされてしまう。PAR4/PAR5ホールでグリーンを狙う場合、既にティーションなどでボールを打っているため、2打目、3打目地点からグリーンを狙うショットは、その前のショットでリズムを経験しており、体はスイングする状態が出来上がっているのである。一方、PAR3ではコース間を移動しているため、新たなリズムでグリーンを狙う必要がある。加えて、体はリセットされてもメンタルはリセットされないため、前のホールでミスを重ねていると一層イメージが悪くなり、グリーンが実際以上に小さく見えるものである。

さらに、PAR3の好条件が問題である。いかにも乗せて当たり前の状況が出来上がっているのだ。これが逆にプレッシャーになる。乗せて当たり前の状況で乗らない場合を想像してしまうと、心が折れてしまうのである。ゴルファーはこのプレッシャーに打ち勝たなければならない。

さらに、さらに、目の前にピンフラッグが見えているのである。あわよくばバーディーを狙いたいと思うのは人間の性ではないか。バーディーがダメでもパーでは上がりたいと思うのは人間の性ではないか。安全にグリーンセンターへ乗せるという選択肢を選べば安全であることが分かっていてもピンを狙いたくなるのは人間の性ではないか。

このように総じて、PAR3とは好条件の安易なホールに見せかけてゴルファーを奈落の底に突き落とす無慈悲なホールなのである。羊の皮を被ったPAR3とはよく言ったものである。

もしもである、仮にである、私の事では決してないと思うが、例えばお気軽ゴルファーさん(仮名)のPAR3ティーショットがシャックし右の林へ飛び込んで行った場面に遭遇したとしても、暖かい目で見守るのが紳士淑女の紳士淑女たるところであろう。それほど PAR3は恐ろしいのである。

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