【ラウンド】Never Up Never In

ラウンド

4番ホールは距離の短いミドルホールであった。2打目の打球は真っ直ぐにピンに向かい、ピン手前でピタッと止まる。これは噂には聞いたことがあるバーディチャンスと呼ばれるものに違いない。

通常パーオンできず、ウェッジとパターを握ってグリーン付近に向かうヘッポコゴルファーであるが、今回は2オンに成功しているためパターのみを手に悠々とグリーンへ向かう。ゴルファーであれば共感していただけるであろう、このパターのみ握ってグリーンへ向かう時の爽快感を。グリーン周りでのダフったり、トップしたりし、乗せるまでの往復ビンタで余計な打数を重ねる恐怖心から解放され、いやそれ以上に2打目のナイスショットの感覚が手に残ったままグリーンへの向かう快感である。バーディへの期待感、パティング時にカップ手前で失速させるのではないかというプレッシャー、その両方の心地よい緊張感である。そして思う、”Never up, never in” である。

テレビ中継でよく見るプロゴルファーの所作を真似てみたりもする。グリーン手前位から歩いてグリーンへ向かい、ざっとグリーンを見渡すなど洒落てみるのだ。ピン位置は右奥、手前が低い受けグリーン、傾斜が右側が高く、左へ傾いている。ボールはピン手前 3メートルにひっそりと止まっている。ピッチマークも少なく、綺麗に整備された大きなグリーンであった。

まずは、ボールの後ろからラインを確認。右が高いため左へ切れそうなフックラインである。反対側からのラインも確認。やはりボールからカップまではフックラインに見える。手前から確認した時よりも少し大きく切れそうにも見える。ラインを真横からも確認。上りのパットであることは間違いない。
「よし、右カップ1個半へしっかり打ち抜く」心に刻みアドレスに入る、そして強めのパット。
「????」


何が起きたのだろうか、ボールは無情にもカップ右をすり抜けていった。全くフックしないのである。
「ストレートラインだとぉ?!」
バーティチャンスを逃し意気消沈であるが、パーで OKと心を切り替える。1パット目がストレートであれば、返しも自ずとストレートであろう。距離も たった40センチメートルである。失意のパーパット。
「・・・・・」


何としたことでしょう。カップ手前で大きく右へそれていくボール。茫然と目でボールを追いかける自分。言葉も出ないのである。ボールはカップから1メートルも離れて停止。
ファーストパットがストレート、返しのパットが大きくスライス。そしてバーティバットが、すでにボギーパットを打つ状況に追い込まれている。世の中には今だに科学では解明できない不可解な現象が存在するとは聞いている。今後の科学の進歩が待たれるところである。

3パット目。ゴルファーにとって3パットという言葉は何とも聞き心地が悪い。しかし現実は現実である。1メートルのボギーパットはストレートライン。鎮痛な面持ちでパッティング。
「・・・・・」
カップ手前2センチメートルで止まるボール。2オン、4パットのダブルボギーでホールアウト。忘れていた「Never up, never in」

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