ゴルフは団体競技かもしれない
巷では上手な人とラウンドするとスコアが良くなるいう話はよく聞く。一つには、その上手なプレーに引きずられる事が挙げられるが、それ以上にその上手な人達がマナーを通してその組全体でプレーし易い環境を作ってくれて、リズム・テンポが良くなる事がその要因ではなかろうか。
例えば、ヘナチョコゴルファーだけでラウンドしていると、自分のボール探しだけではなく、同伴メンバーのボール探しでも右往左往したり、誰かがプレーに入った時も他のメンバーがカートでクラブの出し入れをガシャガシャやっていたり、プレー中の同伴メンバーの後ろをクラブを担いで走り抜けたりで、何かとせわしない。自分の事で一生懸命になって、思いの外全員がお互いにリズム・テンポを乱しているかもしれない。また、各自が色々とベストショット・ミスショットを織り交ぜてグリーンまでボールを運んでいているため、グリーン上で長く待っている人、グリーンに乗ってすぐにパッティングの順番が来る人、誰かがパッティングのルーティーンに入っていてもカップ付近でボールマークを始める人などで、パッティングのリズム・テンポも各ホール毎にバラバラになってしまいがちかもしれない。
上手な人たちとプレーしていると、上手な人のボールはほぼフィエアウェイにあるので、自分のボールの行方だけを気にしておけば良く、落下地点への移動中でも次のショットで悪い癖が出ないようにスイングのチェックポイント反芻するなど余裕があるかと思われる。プレーに入ったら、上手い人たちは邪魔にならない位置に立ち止まって、音を立てずにショットが終わるまで止まっていてくれるので、安心して自分のプレーに集中できるし、グリーン上でもラインを踏むなんて事などは皆無だし、上手な人のボールマークが自分のパッティングライン上にあっても、いつの間にか押しピンタイプのボールマークに変えていてくれていたり、同伴メンバーがプレーに集中できる環境を作ってくれているように思われる。上手な人達自身は、急ぐでもなく、遅くもなく、全体の進行が遅れない程度に、ゆったりとプレーをされているので、自ずと自分も落ち着いてプレーができるように思われる。
上手な人達がゆったりプレーをしていても進行が遅れないのは、プレー以外の作業が非常に効率的からだと推測される。例えば、カートの移動もちょど良い位置にカートを止めてグリーンから遠い順にメンバーを下ろしながらカートを前に進めてるなど移動効率が良かったり、ボールとカート間を行ったり来たりなどの無駄な移動はしないし、グリーン上にボールが乗っていても、他のメンバーがプレーに入っていたら他のメンバーが打った後にマークすることでプレーを止めないようにしていたり、前の組みが詰まっている、あるいは、後ろの組が迫っていない場合は、程よく流れるようにプレーを調整したりしていると思われる。その一挙手一投足が小慣れているのである。結果その組内で各自の1打1打の時間が十分に取れて、リズム良くプレーしていくため、スコアが纏まりやすくなるのかと考察される。
このように改めて振り返ると、上手な人達とラウンドするとスコアが良くなるのは、上手な人達のマナーが秀でていて、同伴メンバーが一応にプレーに集中できる環境が出来上がっている事や、1打1打が自分のルーティンでプレーができる事が原因であるかと思えてならない。つまり、ゴルフはマナーが重要と言われるのは、漠然と紳士のスポーツだからという理由ではく、自分と同伴メンバー全員がナイスショットできる環境を全員で作り上げるための基本的な嗜みに思えるのである。言い換えると、一見個人プレーのように見えるゴルフだが、団体競技と思ってラウンドすると案外スコアが良くなるかもしれない。
逆に恐ろしいのは、上手下手はともかく、その組内で自分だけスコアが良い日は、もしかすると知らず知らずに他のメンバーのテンポやリズムの邪魔をしていたかもしれないので要注意という事であろうか。なるほど、ゴルフとはプレーを通してプレーヤーの社会性が問われる恐ろしい競技なのかもしれない。
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